耐震の変革 第2版 <想定を超える地震に耐える> 新たな耐震基準 耐震構造 建築様式

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<概要>
 現行の耐震基準は、地震動を現実の数分の1、中低層RC系建物の耐震性能も数分の1に過小評価している。 倒壊防止という目標性能もニーズに合わない。この結果、耐震補強済み、新耐震とも多大な被害・使用不可を生じている。 熊本地震では、倒壊等による直接死の3倍以上の関連死が発生した。耐震改修促進法に基づく 現行の耐震化制度は、耐震基準の硬直化、地方都市の衰退、大都市の過密化を招いている。地震動想定を現実に近づけると 鉄骨ブレース等による強度型補強、超高層、免震・制震、現行の木造は成立しない。耐震基準、構造、制度の抜本的見直しは不可避である。
 新たな耐震基準には、震度(気象庁震度階級)による説明廃止と想定レベルの大幅引き上げ、 個別の事象と部材毎の危険度及び損傷度評価、十分な安全率、繰り返し荷重と地盤、部材、接合部のエネルギー吸収の 適切な考慮、無被害事例の調査分析結果の反映、耐震補強材の定期点検・補修の義務付け、各都市の判断による 地震動レベル設定・土地利用規制・構造、高さ等の建築規制が求められる。
 愛媛県西条市では、平成20年より、耐震診断を省略し、倒壊危険度(If値)に基づく耐震改修で関連費用を節減し、 地域性、場所性を生かした図書館、福祉センター、庁舎等の新築を行っている。これは、新たな基準は各地域が主体性を確立し 固有性を深め多様性を再構築する原動力となることの実証である。
 中低層鉄筋コンクリート造建物のピロティ等の固有振動部分の柱をSRF工法で補強した建築物、及び木造接合部、 くぎ打ち部を同工法で補強した建築物は、動的安定性を有し、震動を抑え、仕上げの被害も抑える効果があることが、 東日本大震災、熊本地震で実証されている。これらは、新たな耐震構造の実例であり、経済性、使用性、機能性、 デザイン性、居心地、住み心地に優れた地震国日本の新たな建築様式になり得る。