微動診断と高弾性材料補強により
安全で快適な都市と国を創ります
2026年 年頭所感
新しい年を迎えられたことにお慶びを申し上げます。今年は丙午の年です。「丙(ヘイ)」は十干の3番目であり、キラキラと光り輝き、太陽のように明るく熱を発する状態を表し、「午(ゴ)」は、十二支の7番目で、生命の循環で言えば、成長が極限を過ぎ、衰えの兆しを見せ始めた状態を表すそうです。「丙(ひのえ)」と「午(うま)」は、陰陽五行思想で、ともに「火の陽」に分類され、この組み合わせは、60年に一度で、制御不能なほど生命の爆発的なエネルギーが支配する年であるとのことです。この力を、上手く制御できれば飛躍、出来なければ破滅すると言われます。
生命を育んでいる地球表面の活動も、目に見えて活発さを増しています。海面水温の上昇、偏西風の蛇行が観測され、寒暖差、干ばつ、豪雨、猛烈な台風などで、世界各地で大きな被害が生じています。日本でも、能登半島、九州、東北地方など、全国各地で大地震が相次いでおり、南海トラフ、あるいは、日本海溝・千島海溝付近を震源とする巨大地震に対する後発地震注意情報が出され、津波に対する避難準備等の具体的な措置が求められています。
地球環境の激烈化に呼応するかのように、私たちの社会にも大きな変化が生じています。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃、さらには、アメリカのベネゼエラ大統領夫妻の武力による拘束によって、国際社会は、国際法や国連憲章によってではなく、物理的な力、軍事力で支配されていることが、露わになっています。一方、かつて、世界を驚かせた日本の経済力は、30年余り劣化し続け、人口減少に歯止めはかからず、円の価値はじりじりと下落しています。私たちは、日々の暮らしの中で、手に取るもの口にするものを通じて、日本が年々貧しくなってきたことを実感しています。
地球環境、国際環境、そして、経済環境が、このように厳しさを加速的に増す中でも、日本は、依然として、経済成長を追い求めています。沿岸部、郊外の鉄道駅周辺では、タワマンを中心とする開発が続々と進められ、都心部では、公園までも潰して、超高層ビルを中心とする再開発が目白押しです。公園、駅周辺の土地は、災害時に避難場所となり、復旧・復興の要となる重要な空間です。ここには、高層建物、大規模商業施設などを作らないということは都市計画の基本でした。便利なところ、地価の高いところに超高層ビルを作れば売れる、貸せる、儲かるという経済的エネルギーに対する防災面からの制御は、すっかり失われています。この箍(たが)を外したものが、これさえ守っていれば、大地震でも、大丈夫であるという新耐震基準です。
自治体のホームページにも書いてあり、マスコミに登場する大学の先生や、解説者が異口同音に語っている新耐震、免震・制震であれば大丈夫であるということ、あるいは、地震対策は旧耐震の耐震化、新耐震ならば在宅避難用防災グッズの備蓄でよいということは正しくありません。ほとんど報道されていませんが、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震などの震災では、新耐震基準、耐震補強実施済みでも被災し、退去しての大規模改修、あるいは、取り壊しを余儀なくされた校舎、ビル、マンションは数多くあります。東京都心などの過密な地区が、大地震に襲われれば、新耐震であろうが、免震・制震であろうが、ビルやマンションから逃げ出した人々が、道路に溢れ、一時避難する場所も、食事や寝具を提供してくれる避難所もないとう窮地に追い込まれます。無事に逃げ出せるという保証もありません。
新耐震でも壊れて使えなくなる第1の理由は、新耐震基準は、コンクリートにひびが入って、鉄筋が曲がって使えなくなっても、命が助かればよいとする最低の基準であるということです。昨年5月の国土交通委員会の杉尾秀哉委員の質問に対して住宅局長もこのことを認めています。第2の理由は、コンクリートはひびが入るもの、鉄筋は繰り返し変形すると元の形に戻らないものであり、ビルを作っている柱・梁・壁を作っている鉄筋コンクリートは表面のかぶりの部分から崩壊するものであるという事実です。従って、新耐震基準の計算によって、壁を増やしたり、鉄骨を入れたりしても、免震・装置を入れてもこの事実に変わりはなく、結局は壊れて使えなくなります。
第3の理由は、最も根本的な問題です。耐震の教科書には、新耐震基準は、コンクリートにひびが入った後、鉄筋が塑性化した後、つまり、弾性限界を超えた後に建物がどのようになるかを細かく計算して安全性を判断している。これが、旧基準とは違うところで、技術の進歩により可能になったと説明されています。しかし、このようなことは、実際にはできません。金属、ガラス、コンクリート、ゴム、繊維、木材などの材料のひび割れの発生、破壊強度、破壊時間などは、同じ条件で実験しても、結果は、大きくばらつくことが応用物理学で明らかにされています。ある条件を与えて、コンクリート等に亀裂が入った後、弾性限界を超えた後、どのようになるかを細かく計算しても、計算結果と実際の現象の間には大きな違いがあるということです。さらに、大地震では、構造物がどのように揺れるかという、コンクリート等に与える条件すら、予め決めることはできません。これをやってのけている新耐震基準や免震・制震の計算法と、これらを解説している教科書には、当然ですが、物理に関する基本的な誤りと、方法論的な矛盾があります。
どんな大地震でも、新耐震、免震・制震であれば大丈夫であるというようなことはない、私たち、一人一人が、この当たり前の事実に気づき、基準の文言や専門家の言うことを鵜呑みにせず、身の回りにある、そして、これから造られようとしている建物やインフラ施設の現実の姿を直視し、地震に対する性能と危険性を見極めて、維持管理を行い、建設の可否を決めることが、ほんとうに安全で快適な東京、そして、日本を造るための第1歩です。
これは不可能ではありません。コンクリートや鉄などすべての物には、もとの形を保持しようとする弾性、もとの運動を続けようとする慣性が備わっており、地球による重力が常に作用しています。その結果、地上に建設された構造物は、地面の揺れのエネルギーを、自らの運動と変形に一旦収めて、また地面に返すことで、自身はもとの状態に戻るという性質をもっています。これを収震性と呼んでいます。地震後にもとに戻れば構造物の機能は維持されます。収震性は、機能維持に直接関わる大切な性質です。
構造物は常に微細な振動をしています。これが、常時微動です。収震性は物の基本的な性質ですので、常時微動の中にも現れています。常時微動を計測して分析することで、収震性を数値化することができます。これが微動診断です。
収震性は、弾性と慣性による性質ですので、弾性の高い材料、つまり、高弾性材料で高めることができます。これが、高弾性材料補強、SRF工法です。高弾性材料は、柱、梁、壁の復元性を高めるだけでなく、ひび割れが入っても、崩壊しない壁を作り、内部のコンクリートが粉砕されても建物を支え続ける柱を造るフェイルセーフ装置としても機能します。どのような方法を用いても、大地震で損傷を受けることを完全に防ぐことはできません。万一被災した場合に備えて、復旧工事体制を予め整えておくことで機能回復を早期に実現するための契約が復旧工事保証契約です。これらの技術を用いて、大地震に対する機能維持とフェイルセーフを目指すことが、収震設計です。
微動診断、高弾性材料補強、復旧工事保証契約、そして、収震設計により、ほんとうに安全で快適な東京、そして、日本を造ることができます。これが成し遂げられれば、日本は、激しさを増す地球表面の自然と人間の活動のエネルギーを、一旦、それぞれの建物やインフラ施設の中に収め、力に変えて、再び、大きく飛躍することができると信じています。

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収震設計
所謂耐震基準を上回る
高い耐震性能を求める設計です新耐震基準は、あくまで倒壊防止目的の最低限の基準であり、財産上大きな被害が生ずることは仕方ないとされています。最近の大地震では、新耐震、耐震補強済み建物に、大きな被害が生じています。
現代都市では、建物・施設が使用できなくなることは、財産的な大損害だけでなく、生命の危険に直結します。収震設計は、計画から設計・施工、被災時まで、一貫して、建物・施設の機能維持に関わる性質を実測と計算で評価する新しい方法です。事前に、基礎を工夫して過大な震動を避け、微動診断を行い、高弾性材料で機能維持能力を高め、倒壊等の危険な事象にも対処し、万一被災した場合の復旧工事体制を整えておくという4段構えの方法です。新耐震、旧耐震、耐震工事実施済みに関わらず適用すべき新しい方法であるとして、国会でも取り上げられています。 -
高弾性材料補強(SRF工法)
しなやかな高弾性材料で
収震性を高め危険性を低減します耐震補強に使われている鉄や炭素繊維などの固い材料は、地震で激しく動くとコンクリートや木材を破壊するか剥がれてしまいます。SRF工法は、ポリエステル繊維をベルト状、シート状に織った扁平でしなやかな高弾性材料と一無溶剤液性ウレタンの高弾性接着剤で補強する方法です。木材やコンクリートを壊さずにひび割れや亀裂に大きな復元力を与えます。主要な柱等の部材を補強することで、個々の部材の性能のばらつきを補い、いびつな変形を抑え、均整のとれた変形形状とする整震効果があります。また、復元できる変形を大きくして、収震性を高めることができます。さらに、しなやかさを生かして、層崩壊や崩落、落下・転倒を防止するフェイルセーフ機構を造ることもできます。SRF工法は、各種の部材と接合部の弾性変形限界を高めることに加え、破壊後にも荷重支持能力を維持する危険性低減効果も兼ねる一石二鳥の補強工法です。
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微動診断
実測により診断し
実現可能な補強を提案します収震性は構造物と地盤の変形の中にある性質ですので、構造物の常時の変形を計測し解析することで数値化することができます。ただし、変形は、耐震設計で使われるように何分の1などという一つの数字で表されるものではありません。時空間的な大きさと形を持つものですので、6自由度の計測と解析を行います。建物の各フロアに微動計を置き、常時微動を測定し、各種の指標を直接計算します。耐震設計に用いられている指標や係数に相当する値も算出することができます。建物に関する図面、既往の診断結果等の資料の分析結果と比較し、構造的な性能と品質を評価し、大地震に対する使用継続性と安全性を確保する収震補強計画案を提示します。測定は1日、分析と報告書の作成は1週間~1ヶ月程度です。
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SRF研究会
SRFで無被害化と
フェイルセーフを目指します21世紀の厳しさを増す地球環境に対して、安全で快適な街と国を造ることに向け、構造品質保証研究所(SQA)が所有する高弾性材料による収震補強(SRF工法)に関する各種の知的財産権、ノウハウを、SRF研究会を通じて、設計、施工される企業に提供しております。本会は、設計部会、施工部会、材料製造会社から構成されています。入会は随時受け付けております。設計法、施工法に関する講習会を開催しています。会員専用ページから、各種指針、技術資料、講習会映像等を閲覧、ダウンロードできます。なお、微動診断、収震設計等、新しい設計法、診断法に関する研究の最新情報、設計指針、設計資料等をご提供し、お問い合わせにお答えしています。耐震基準をクリアする補強から、収震補強までサポートしております。
収震:地震の揺れを自然な変形によって収める
地震が起こると、地面はその位置と向きを大きく変えます。従って、地面の上に建っている建物、インフラ施設など(構造物)は、揺れを小さくするためには、図に青い線で示したように大きく変形する必要があります。しかし、従来は、揺れや被害は構造物の変形によって生ずると信じられていました。そこで、柱を太くし、耐震壁を入れたり、免震・制震装置を用いて変形を小さくするような耐震基準が作られました。ところが、図に赤い線で示すように、地震を受けたときにほとんど変形できないと、地面と同じように大きく激しく揺れてしまい、中にいる人や設備の損傷は避けられません。さらに、地面と一緒に動こうとするので、大きな力(地震力)を受けて弱いところから壊れてしまいます。東日本大震災、熊本地震などで、写真のように耐震基準を満たした建物や耐震補強済みの建物の内部が惨憺たる状況になり、あちこちに大きな亀裂が入ったことが多数報告されています。壁や装置で変形を抑えようとすると、大地震では大きな揺れと力を生じてしまい、被害が生ずることは、図のように空から地面と構造物の両方を見れば一目瞭然ですが、従来は、動く地面の上から構造物を見て設計していたので気付かなかったようです。

物には、力が加わっても元の位置に留まろうとする慣性と呼ばれる性質があります。また、自然な形に変形して、力が抜ければ元の形に戻る弾性という性質もあります。これらによって地面も構造物も元の位置の周りで、常に振動しています。地震によって、地面がもとの位置から大きく激しく動いても、図の太い線で示したように構造物が自然な振動を続けられれば、それほど揺れずにすみます。これは、しなやかな材料でコンクリートの柱や壁、木造の接合部を補強すること(SRF工法)で実現できることが、理論・実験と実測で確認され、近年の地震で実証されています。地面から来た地震のエネルギーは構造物を壊すような力に変わることはなく、反射して地面に返っていきます。地震が終われば、揺れは自然に収まります。これを収震と呼んでいます。変形を抑えようとする耐震、免震・制震とは違い、自然な変形で揺れを収める新しい方法です。さらに、SRF工法は万一地面が想定を超えるような動きをした場合でも柱が床を支持し続けて倒壊の危険性を減らすフェイルセーフ効果もあることが実験で確認され地震で実証されています。